CADオペレーターの平均年収や年収アップの方法とは?

「CADオペレーターになりたいけれど、実際の年収が気になる」「CADオペレーターとして勤めて数年、ほかの人の収入はどれくらいなのか」など、疑問を持つ人は多いことでしょう。ここでは平均年収についてまとめるとともに、今後の年収アップに向けて効果的な方法を紹介します。

CADオペレーターの年収はどれくらい?

CADオペレーターとして働いている人は、20代~30代の若年層がボリュームゾーン。またCADの技術を必要とするのは建築業界にとどまらず、内装設計、電気・半導体・機械といった製造業、アパレル業界など幅広い分野にわたります。収入は会社の規模や、業界の景気にも左右されるものです。その前提で次に紹介する金額をご覧ください。

平均年収は300万~400万円ほど

CADオペレーターの平均年収は職場や職種にもよりますが、300万~400万円と言われています。ただし実務経験やスキルの高さが重視される職種のため、500万円以上の収入を得ている人も存在します。基本的には経験年数の長い人であればあるほど、収入が高くなる傾向にあります。

年代別の年収の差=実務経験の差

CADオペレーターには、専門学校や職業訓練校で技術を身に付けて未経験で就職する人や入社してから業務の中でスキルを磨く人もいます。そのため入社したばかりの人とベテランとでは、実務経験の差が年収の差となるケースが多いようです。20代前半では平均年収は270万円ほどですが、30代になると310万円程度に。30代の人の中には、その約10年の経験で600万円ほどの年収となる人もいます。

男女にかかわらず、問われるのはスキル

またCADオペレーターは4人に1人が女性という、IT系職種の中では女性の割合が比較的多い職種なのも特徴です。CADオペレーターは技能重視で、性別を問わず採用されることが多いようです。さらにCAD以外の事務的な役割を担うこともあり、一般事務職として働いていた女性がステップアップのためにCADを学ぶというケースも少なくありません。男性と肩を並べて働きたいという女性には、おすすめの職業といえます。

雇用形態も業界も多種多様。広がる活躍の場

建設会社や土木、電気・機械分野だけでなく、アパレル業界などでも用いられているCAD技術。そのためCADオペレーターの需要も多く、正社員だけでなく、契約社員やアルバイト、パートなど雇用形態はさまざまです。中には派遣社員や在宅ワークで働く人もおり、派遣社員の時給の相場は1,500円~1,800円ほど、基本的に出来高制の在宅では月給10万円程度でしょう。もちろん実力次第で正社員並みの収入を得られ、資格を持っている場合、資格手当が受け取れることもあります。

時給はほかの職業と比べて高い?

専門職であるCADオペレーターのアルバイト、パートの平均時給は、各地域別の平均時給より若干高めの設定となっています。中でも求人の多い東京では平均時給が1,221円で、一般事務の平均額1,130円と比べて100円近くの差があります。もちろんより高い技術を必要とする3次元CADやCATIAV5、設計士などの有資格者であれば、さらに金額はアップします。※2017年10月27日現在

CADオペレーターが収入をアップさせる方法

CADオペレーターという仕事は、必ずしも資格が必要なわけではありません。しかし資格取得で得た知識と技能を生かし、より専門性の高い業務が可能になれば、当然収入アップにつながるでしょう。また資格をもっていることで、就職や転職に有利に働くことが多いのも事実です。特に女性においては産休や育休などで休職や退職をしたとしても、その資格が社会復帰への近道となることもあります。

就職や転職に有利になる資格

CADオペレーターの資格には厚生労働省認定の公的資格「CADトレース技能審査」、民間団体が実施している「CAD利用技術者試験」などがあり、この2つの検定試験はこれまで多くの合格者を輩出してきました。

しかし「CADトレース技能審査」は平成29年度で廃止となることが決定。それに代わるのが国家資格である技能検定「テクニカルイラストレーション(テクニカルイラストレーションCAD作業)」「機械・プラント製図(機械製図CAD作業)」です。合格すると「技能士」の称号が与えられますが、厚生労働省からの合格認定を得られる1級は7年以上の実務経験を要し、初級に該当する3級でも、これまでの「CADトレース技能審査」の中級より高い技能レベルを要求されます。

CAD技能に関する資格の種類とは

「テクニカルイラストレーション」とは、工業製品の取扱説明書やカタログ掲載のイラストなどをCAD技術を用いて作図する技術です。「機械・プラント製図」は、機械装置などの部品図・組立図を作製する「機械製図」、化学工場などのプラント施設の各種設備機器などの部品図・組立図等を対象とする「プラント製図」の2種類の作図能力資格です。四半世紀以上の歴史があり、知名度も高い「CAD利用技術者試験」には2次元CADと3次元CADの2種類があり、合格者のCADの技術が一定水準に達していることの証明になります。

資格取得で得られるものとは

資格を取得した人の声として、「自信がついた」「操作の習熟度が高まった」などがあります。中には社内の資格評価制度でポイントが上がったという人や、会社での信用を勝ち取り、派遣社員から正社員に昇格したという人も。会社側の評価の具体的な指標となるこれらの資格は、給料アップにつながりやすいのでしょう。

CADオペレーターが高収入を得るための3ポイント

また資格以外に、CADオペレーターの収入をアップさせるためには、どのような能力が必要なのでしょうか。実際に高収入を得ている人には、次の3つの特長があります。

正確さ

設計士やデザイナー、管理者の指示や修正を正しく製図に落とし込むために、CADオペレーターの仕事は正確さが問われます。

コミュニケーション能力

CADオペレータ―には、設計士などの指示をきちんと理解し、図面に誤りが無いかどうかを確認する必要があります。密なコミュニケーションが仕事をスムーズに進める鍵となるのです。

トラブル回避能力

建築や機械設計の分野では、少しの意図の読み違いが、図面の設計ミスなど大きな問題につながります。施工手順はどうなっているのか、どういう目的の図面なのか。そういった詳細を把握し、トラブルを回避する「先読み」の力も重要です。

技術や経験だけでなく上記の3つを持つ人は、CADオペレーターとしても希少で代えのきかない人材です。新たな職を得やすいだけでなく、現在の職場でも重宝されるので、高収入となるのは当然と言えます。

広がるCAD技術活用の場と人気の職業は?

残念ながら、CADオペレーターのまま、すべての人が高収入を得ることは難しいのが現状です。そこで収入アップを図るには、さらに難易度の高い資格をとったり、CAD+アルファの経験を積んだりすることにより、高収入の職に就くのが良いでしょう。身に付けたCADの技術を生かし、高収入を得られる仕事にはどのようなものがあるでしょうか。

CADを使う現場として一番に頭に浮かぶのは、建築設計分野ではないでしょうか。中でも人気の職業、建築士はもちろんCADを用いて図面を描きます。mm単位の部品や製品の図面を描く機械製図工の人たちにとって、CADの存在は欠かせません。アパレルの世界ではCADで型紙をつくり、3次元CADで縫製後のできあがりを具体的にイメージできるようになりました。最近では、歯科技工士の技工物製作にもCADの技術が活用されているそうです。

CADの技術が生きる!専門職の平均年収

はたして専門職の人々の収入はどれくらいなのでしょうか。難易度の高い一級建築士の平均年収は約690万円。機械設計工で約490万円、歯科技工士は約468万円、デザイナーの平均年収は約400万円という結果が出ています。平均収入にはばらつきがありますが、どれも専門性が高く、需要も将来性もある職業であることに違いはありません。

専門性の高い資格と技能向上の先に見えてくる収入アップ

どのような職業でも、資格取得やスキルアップは求められるものです。それはCADオペレーターの場合も例外ではありません。CADオペレーターという職にとどまるにせよ、CADの技術を武器に専門職へのステップを昇るにせよ、実務経験を積み、資格に挑戦することがスキルアップにつながります。まずは自分の将来像を思い描き、そのために今何をすべきか考えましょう。その先にきっと、高収入への道も見えてくるはずです。