CADファイルを変換したい!無料変換ソフト5選

取引先相手から送付されたPDFやCADの図面データが「自分のソフトでは開けなかった」「文字化けが多くて使い物にならなかった」という経験はないでしょうか。一からトレースし直したり、データを修正したりすると時間を無駄に使ってしまうため、なるべくそのような事態は避けたいもの。そこで、ここではCADでよく使用されるファイル形式の種類を説明し、ファイル形式の変換に役立つ無料ソフトを紹介します。

CADのファイル形式にはどんなものがある?

DFX、JWC、SXF、STEP……CADのファイル形式はさまざまです。CADを上手に活用していくためにも、CADで主に使用されるファイル形式とその特徴を確認しておきましょう。

DWG、DXF

「DWG」「DXF」は、現在広く普及しているAutoCADを開発したAutodesk社が定めたファイル形式です。DWG形式は主にAutoCAD内でしか使用できませんでした。そこで、異なるCAD間でデータのやり取りを行えるように互換性を持たせたのがDXF形式です。

ビューアソフトを使えば無償でDWGも閲覧できる

ただし、「Autdesk Viewer」や「DWG TrueView」を使えば、DWG形式のファイルも閲覧できます。上記のビューアソフトはどちらも無料で、DWG TrueViewはDWG/DFX/DWF形式にしか対応していませんが、Autdesk Viewerは50種類以上のファイル形式に対応しています。

JWC、JWW

「JWC」「JWW」は、AutoCADと並んで広く使用されているJw_cadのファイル形式です。最初に発表されたJw_cadはDOS版(マイクロソフト社がWindows以前に開発したOS)で、データ保存にはJWC形式が使用されていました。その後、Windowsの登場とともにWindows版のJw_cad(旧称Jw_cad for Windows)が誕生し、こちらではJWW形式が保存形式とされました。JWW形式は今後データ形式が変更される可能性もあるため、データ送付の際にはバージョン情報も併せて送ると良いでしょう。

SXF(SFC、P21)

SXF(SFC、P21)は、国土交通省の主導で開発された中間ファイル形式です。異なるCAD間でデータをやり取りする際に使われます。P21は国際標準(ISO規格)に準拠しており、基本的に電子納品はP21で納品します。SFCは、ファイルサイズが重く扱いにくいP21の簡易版としてつくられたもので、地方自治体などではSFCで納品することもあります。

IGES

IGESは米国規格協会(ANSI)により定められた保存形式です。異なるCAD間でデータを受け渡すための中間ファイルとして策定されました。サーフェスデータをやり取りする場合によく使用されています。自動車メーカーではIGESを使用する企業が多く、日本自動車工業会は交換データの質向上のためにIGESをもとに「JAMA-IS」を作成しました。

STEP

STEPは国際標準化機構(ISO)により定められた保存形式です。異なるCAD間でデータをやり取りするための中間ファイルの1つで、ソリッドデータを受け渡す際によく使用されます。従来は中間ファイルといえばIGESが主流でしたが、近年STEPが標準規格とされたことで普及が進んでいます。

そのほかにもCADのファイル保存形式はさまざま

ほかにも「MODEL」「PRT」「IDEA」「F3D」「ADF」など、CADごとに固有のファイル保存形式があります。近年は変換ソフトを利用しなくても異なるファイル形式を直接読み込める製品も増えてきましたが、データを受け渡す際は相手に不便を感じさせないように、STEPやIGES、DXFなどの中間ファイルに変換した方が良いでしょう。

ファイルの保存形式を無料で簡単に変換するソフト5選

ここでは、PDFからCAD、PDFからDWGなど、さまざまなファイル形式の変換に役立つフリーソフトを5つ紹介します。

【さまざまなファイルをPDFに変換】CubePDF、PDF24

CubePDFとPDF24は、DXFやJWWなどさまざまなファイル形式を簡単にPDF形式に変換できます。

CubePDF

日本製のPDF変換フリーソフト。使用ソフトで「印刷」設定を開き、プリンタの中から「CubePDF」を選択して「変換」ボタンをクリックするだけで簡単にPDF変換が行えます。海外製品では日本語フォントが正しく変換されないケースもありますが、日本語フォントにも対応していることが特長の1つです。ほかにも、パスワードや複製禁止などのセキュリティ設定も行えます。

対応 OS:Windows 7以降
ダウンロード先:http://www.cube-soft.jp/cubepdf/index.php

PDF24

操作画面がシンプルで誰でも簡単に扱いやすいPDF変換フリーソフトです。印刷画面からボタン1つで簡単にPDF変換が行えます。簡易的な編集機能があり、ページ削除やデータの結合を行えるほか、オプション機能を利用すればパスワードの設定や解像度・圧縮度の指定も行えます。スクリーンキャプチャ機能もあり、撮影した画像をPDFファイルとして保存できます。

対応 OS:Windows XP以降
ダウンロード先:https://ja.pdf24.org/pdf-creator-download.html

【PDFをDWGに変換】Aide PDF to DWG Converter

PDFをDWG/DXF形式のCADデータに変換できるソフトです。有料版と体験版の2種類があり、体験版は20回まで起動できます。操作が簡単で使いやすく高品質なことが特徴で、ベクタPDFだけでなくラスタPDFからCADデータへの変換にも対応しています。複数のPDFをまとめて変換したり、変換ページを指定したりすることも可能です。

対応 OS:Windows 95以降
ダウンロード先:http://www.aidecad.com/

【各種ファイル形式を相互に変換】ProTRANS、AQcad Xfer

ProTRANSとAQcad Xferは、PDFデータの書き出しや、DXF、SFX、JWWなどCADデータ間の相互互換に対応したソフトです。有料版と体験版の2種類があり、体験版はどちらも30日間利用できます。

ProTRANS

PDFからCADへの変換とその編集、指定したファイルの一括変換、CADデータ間の相互互換などに対応したソフトです。変換設定が充実しており、テキストの種類や尺度、線の種類や色を柔軟に変更できます。ダウンロード版、CD版、USB版の3種類が用意されています(体験版はダウンロード版のみ)。USB版ならインストール不要で、ネット環境がない場所でも使用できて便利です。

対応 OS:Windows Vista以降
ダウンロード先:https://www.ustage.net/cad/protrans/freedownload.asp

AQcad Xfer

PDFからCADへの変換とその編集、指定したファイルの一括変換、CADデータ間の相互互換などに対応したソフトです。Jw_cadの特殊文字の変換にも対応しているため、文字化けを起こさずに変換できます。自動保存機能もあり、ネット不通時やトラブルが起きた際もデータを保存できて安心です。

対応 OS:Windows Vista以降
ダウンロード先:http://www.vector.co.jp/soft/winnt/business/se504532.html

変換ソフトを活用してさらに作業の効率化を

データがうまく読み込めない場合は、変換ソフトを使えば簡単に形式を変えられます。上記で紹介したソフトはいずれも無料でインストールできるため、データ変換に困っている方は使ってみてはいかがでしょうか。