3DCADから無料ソフトまで! CADの種類とソフトの特徴まとめ

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建築での図面設計をはじめ、機械分野での金具や機器の設計など「ものづくり」のために欠かせないツールのCAD。需要が増すにつれ、たくさんのシリーズのCADソフトが発表されています。選択肢がありすぎるゆえに、どれをダウンロードすべきか迷ってしまう方も多いかもしれません。
この記事では、新たにCADソフトの使用や購入を検討している方や、2Dから3DCADまで使いこなしたいと思っている方、「ソフトの名前は知っているが、それぞれどんな特徴があるのか知りたい」という方に役立つ「CADの種類とソフトに関する情報」をまとめました。

2次元CADと3次元CAD

大まかに分けた場合、CADには「2次元/3次元」「専用/汎用」という区別があります。まずは2次元CADと3次元CADの大まかな違いについて説明していきます。

2次元CADの特徴

2次元CADは、平面図・立面図などの図面を、線分や円弧を用いて描くCADです。
入力が比較的簡単で、無料で提供されているソフトも複数あります。供覧性の高い「紙の図面」に対するニーズがいまだに高いため、特に中小企業ではよく使われています。

3次元CADの特徴

3次元CADは、家やビルのような立体形状を、直方体や球を用いて表現するCADです。
全角度から形状や位置関係を立体的に確認できるため、デザインの仕上がりがイメージしやすいのが特徴です。
また、3次元CADを用いれば、立体のイメージから2次元の図面を自動で計算して出力できます。ソフト価格・パソコンの要求スペックが高いため、導入コストがかかり、大企業で使用されているケースが多いです。設計・製図に関して実現できることは2次元CAD以上と言えます。

3次元CADがあれば、2次元CADはいらない?

「今は3DCADがスタンダードだから、2DCADはもういらない」。そうした声も一部からは聞かれますが、実情は異なります。
キャリアマガジン「fabcross for エンジニア」が、製造業の企業で研究・設計・開発系(機械関連)業務を担当するエンジニア500人を対象に行った調査(2016)によると、職場で導入しているツールは「3次元CAD/CAM」(66.6%)に対して「2次元CAD/CAM」(52.2%)と、半数以上の企業が2次元CADを現在も利用していることが分かりました。
企業規模別に集計すると、従業員数が100人以内の企業にしぼった場合「2次元CAD/CAM」を利用している企業は69.1%となり、いわゆる中小・零細企業では、現在も2次元CADが当たり前に使われていることがわかります。3次元CADがスタンダードになりつつある中でも、2次元CADの活躍の場がなくなることは、まだないと言えるでしょう。

■専用CADと汎用CAD

専用CADは、建築・土木・機械など特定の分野の製図や設計を効率的に行えるように
作られたCADです。「建築」では窓や階段の入力が容易だったり、「土木」では土量集計の機能が備え付けられていたりと、その分野では高い機能と操作性を発揮します。
汎用CADは、CADが用いられるどの分野でも通用する機能を備えたCADです。

ユーザーに人気な代表的CADソフトとその特徴
~Jw-CADとAutoCAD~

ここでは、大量に存在するCADソフトのシリーズの中で、特にユーザーの多いソフトについて、詳しく紹介していきます。

Jw-CAD(ジェイダブリューキャド)

Jw-CADは、非常に人気の高い2次元汎用CADソフトです。建築士が開発に参加していた経緯から、建築業界では圧倒的なシェアを誇っています。
ダウンロードはこちらのWEBサイトから無料で自由に行うことができます。Jw-CADのダウンロードサイトには情報交換室が併設されており、現在も活発に情報交換が行われています。名前の由来は、開発者である清水治郎氏のイニシャル「J」と、同じく開発チームの一員だった田中善文氏の当時のハンドルネーム「悪文(warufumi)」の「w」に由来しているそうです。

Jw-cadのメリット

Jw-cadの最大の特徴は、導入に費用がかからない「フリーソフト」であるということです。無料でダウンロードできるためユーザーが非常に多く、ガイドブックなども充実しています。ユーザーが多いため、前述の「情報交換室」をはじめとして、ネット上で技術的な情報を得やすいこともメリットとして挙げられます。無料だから機能が低いかというとそうしたこともなく、充実した機能と「手で図面を書いている感覚に近い」使いやすさが大きな魅力です。

Jw-cadのデメリット

Jw-cadはフリーで手に入るソフトで、かつ機能も優秀であるため「ダウンロードしておいて損はない」というのが一般的な見方です。
強いてデメリットを挙げるとすれば、フリーソフトとして開発されているため、他の有料ソフトのように「新しいOSなどが登場した場合、すぐにそのOSに合わせたバージョンが用意される」ことは保証されない点があります。
ただ、2017年5月現在もJw-cadはバージョンの更新が続けられており、5月6日には「Version 8.03 」が発表され、現在も継続的に更新が行われていることは付記しておきます。

Jw-cad自体はWindows専用の2D汎用CADソフトですが、ネット上には、マックユーザーのためにオープンソースのツールを使ってMac OSXでも動作するように工夫された、有志による無料のCADソフト「JW-CAD for Mac」が存在します。

AutoCAD(オートキャド)

AutoCADは、Autodesk(オートデスク)社が開発した汎用CADです。Jw-cadと同じく、広く普及している人気のCADソフトで、Jw-cadで作ることのできる図面が2Dのみであることに対して、AutoCADは3D=3次元に対応。建物の完成図を立体的に表現することができます。非常に自由度が高いことが特徴で、建設系だけでなく、プロダクトデザインなどでも広く使用されています。また、建築・土木・機械など、専門分野に特化した専用CAD版もリリースされています。

AutoCADのメリット

AutoCADを使用するメリットとしては、まず、使用している企業が多いことが挙げられます。また、Jw-cadと同様にユーザーが非常に多いところも魅力です。CADの種類が異なるとデータ形式も異なってくるため、自分が仕事をする業界で、シェアの大きいソフトを使用することは、企業とのやりとりの中でもアドバンテージとなってきます。

次にメリットとして挙げられるのが、有料のCADソフトの中では、値段が比較的安いということです。通常のAutoCADのサブスクリプション(購入)価格は1カ月で¥21,600、年間で¥169,560(いずれも2017年5月現在の価格)です。一般的に「安い!」と言える値段ではないかもしれませんが、3Dに対応したCADソフトは、買い切りで百万円を超えてしまうことがざらにある市場のため、この価格も比較的安価だと言えます。

AutoCADのデメリット

AutoCADのデメリットとしては、「データ容量が大きい」ということが挙げられます。同じ密度の図面ですと、Jw-CADの数倍の大きさになるため、PC環境によってはデータの保存に時間がかかったり、データの受け渡しがしづらかったりという側面はあります。
他によく挙げられる欠点が「設定が多すぎる」「操作が直感的でない」「操作が難しい」というものです。こうした意見が出るのは、AutoCADの「カスタマイズのために多種多様な設定値がある」「一つの処理に対して複数の操作方法がある」といった特徴のためですが、これは裏を返せば「操作の自由度が非常に高い」ということです。
「自由度の高さ」は、使い込めば何でもできるというメリットにもなりますし、使い始めにはわかりにくいというデメリットでもあると言えます。

AutoCADよりも安く、人気の高い「AutoCAD LT」

AutoCADには「AutoCAD LT」という廉価版の製品があります。AutoCADとAutoCAD LTの大きな違いは以下の通りです。

・価格の違い

AutoCADのサブスクリプション(購入)価格は1カ月¥21,600、年間¥169,560に対して 、AutoCAD LTのサブスクリプション価格は1カ月¥5,400、年間¥45,360のため、1年間の使用で比較すると10万円以上の値段差があります。

・2Dと3Dの違い

AutoCADとAutoCAD LTの最も大きな違いは、「AutoCAD」は2Dだけでなく3Dの設計も可能であることに対して、「AutoCAD LT」は、主に2次元設計機能のみで使用されるという点です。LTでも空間は3次元のため、多少は3Dの作業が可能ですが、本格的な操作が必要な場合は、通常版である「AutoCAD」の利用をお勧めします。

・「Autodesk App Store」が使用できるかどうかの違い

AutoCADはユーザーの多いソフトのため、AutoCAD専用のアプリケーションも豊富に揃っています。Autodesk App Storeにアクセスし、アプリケーションをダウンロードすることで、AutoCAD内でさらに専門的な作業が可能になります。ただし、LTでは、このアプリが使用できないという違いもあります。

他にも、AutoCADでは可能な「マルチユーザー」での作業がLTでは不可能であることなど、機能の違いは複数ありますので、詳細はAutodesk社のWEBサイトにある比較表をご覧ください。CADソフトを使い始めた段階では「AutoCAD」はオーバースペックという声もあり、まずは「AutoCAD LT」からはじめてみる、という選択は多いようです。

特定分野で人気の高いソフトとその特徴
~REVIT、VectorWorks、SOLIDWORKSなど~

「Jw-CAD」と「AutoCAD(LT)」はユーザー数も多く一般的に人気の高いCADソフトです。一方で、特定の分野において人気の高いソフトもあります。その中から代表的な5つのソフトについて特徴を紹介していきます。

Revit(レビット)

Revit(レビット)は、AutoCAD と同じAutodesk社が販売している、建築に特化したCADソフトです。他のCADソフトとの大きな違いは、モデリング時点から「床、壁、窓、柱、扉」などの要素の情報が与えられ、レゴのように組み立てていくことが可能である点です。

Revitのメリットは、1つの変更が全図面(平面、立面、断面など)に反映されるため、図面間の整合性がしっかりと取れることが挙げられます。さらに、1つのデータで構造設計や設備設計情報のほか、部品のメーカー情報やコストなど、すべての情報を一括して管理できることも大きな利点です。

Revitのデメリットとしては、ソフトウェアの難易度が多少高いことと、レゴのような組み立て方式は、アイデアを練る段階では逆に制約要素になることなどがあります。Revitでは、「組み立て」の際に自分の求めている「部品」がなければ、その部品から作り始めなければいけません。その手間から、小さな組織や個人にはやや不向きという現状があります。大企業においては、この「部品(パーツ)製作」は分業によってカバーできるため、Revitはよく使用されているようです。

Inventor(インベンター)

Revitと同じくAutodesk社が販売しているCADソフトで機械分野を得意としています。微細な図面を手早く作成することができ、「板金展開」や「構造解析」など、プラスチックや金属などの設計に特化した、Inventorのみでしか実現できない機能があります。
使い方の中には、容易に作成できるモデルまではAutoCADで作成して、Inventorの機能が必要になる場面でデータを読み込んでInventor側で作業をする、といった方法を取るケースもあるようです。

Inventorのメリットは、グラフィックスシステムが先進的で、かつ安定して操作ができること、無料で丁寧なサポートが受けられることなどが挙げられます。
Inventorのデメリットとしては、別売りのアプリケーションの数が少ないこと、Windowsとの統合性(検索インデックス作成やタグ認識)が弱いことなどが挙げられます。Jw-CADやAutoCADほどユーザーが多くないため、教科書や参考書が少ないこともやや欠点です。

VectorWorks(ベクターワークス)

世界初のMacintosh版のCADとして、アメリカで開発されたソフトです。かつてはデザイナーの多くがMacユーザーであったことが影響しているのか、デザイン性の高い作品をつくる建築家やインテリアデザイナーが多く使う傾向があり、洗練されたイメージ、オシャレな印象を持つソフトです。
現在はWindows版も開発され、データベース管理や表計算も可能です。プロ向けのCADソフトの中でも、「直感的な操作感」がこのソフトの特徴の1つです。
ダウンロードはA&A(エーアンドエー)株式会社のWebサイトから行うことが可能です。

CATIA(キャティア)

フランスのダッソー・システムズ社の機械専用CADです。ハイエンド(最上位)ソフトとして知られ、ライセンス料は高額です。安いものでも100万円以上、車の空力解析や衝突分析に使うようなシステムの場合、1,000万円を超えるソフトも存在します。自動車や輸送機械業の大手企業が使用しており、自動車の分野では、トヨタ自動車株式会社が2006年に「CATIA V5」を導入したことで注目を浴びました。

CATIAのメリットは、世界的シェアが高いことや「CATIAで作れない曲面・形状は無い」と言われるほど、機能性や操作性が優れていることなどが挙げられます。
CATIAのデメリットとしては、特徴の中でも記載しましたが、ライセンス料金が高いこと、他のCADとのデータ交換がしにくいことなどが挙げられます。

SOLIDWORKS(ソリッドワークス)

こちらもフランスのダッソー・システムズ社の機械専用CADですが、CATIAがハイエンドであるのに対し、SOLIDWORKSはミドルレンジ(中位)ソフトです。とはいえ構造設計などには十分な能力を持ち、豊富な機能と使いやすさには定評があります。

SOLIDWORKSのメリットとしては、ユーザー数と採用企業が多く、教科書や参考書・講習会などの習得機会に恵まれていること、別売りのアプリケーション数が豊富であることなどが挙げられます。デメリットとまではいかないのですが、やや欠点といえるのは、サポートは基本的に有償(サービスパックやNewsGroupも)であることなどが挙げられます。

CADソフト選びで重要なのは「相性」

人気の高いCADソフトについて特徴やメリット・デメリットなどを紹介しました。ここで紹介されているソフトはあくまで一部です。その点についてはご注意ください。
「一番良いCADソフトは何か?」といった疑問は多くの技術者の方が一度は持ったことがあるかもしれませんが、「常に一番良いCADソフト」というものは存在しないといえます。
ご紹介してきた通り、それぞれのCADソフトにはさまざまな特徴があるため、自分(自社)に最も合う特徴を持ったCADを選ぶことが大切です。