CAD×クラウドのメリット5つ 使えるソフトの紹介も

インターネットを通じて、いつでもどこでもサービスが利用できる環境を実現するクラウド。CADソフトにおいても、クラウドを使ってより便利になった製品が多く生まれています。この記事では、クラウドとCADを組み合わせる5つのメリットと、クラウド機能を持つCADソフトをご紹介します。

1.CADとクラウドの組み合わせ、5つのメリット

まずは、CADとクラウドを組み合わせることで生まれる5つのメリットを見てみましょう。

いつでもどこからでも図面にアクセスできる

CADとクラウドを組み合わせれば、いつでもどこからでも図面にアクセスすることができます。例えば、現場で図面を見ながら話し合いたい場合も、ノートPCやタブレットからアクセスすれば図面を見ながら作業をすることが可能。その場での意見をメモしたり、図面の修正を行ったりすることも容易になります。

また、クラウドを使えば在宅ワーカーやノマドワーカーなどとして、通常のオフィス以外で作業をすることも可能になります。子どもが小さい間など、なかなか職場に出勤できない、というCADオペレータ―の方も少なくありませんが、クラウドを使えば自宅で子どもを見ながら作業をする、という環境も実現できるでしょう。

CADとクラウドを組み合わせれば、場所や時間に制約されないで自由に作業を行える可能性が高まるのです。

PC以外でも利用することが可能

従来のCADはスペックの高いPCのみで利用できるのが基本でしたが、クラウド時代のCADはノートPC、タブレットからスマートフォンに至るまでの利用を想定しています。図面にアクセスして参照しながら現場での作業を進めるといった利用ができるだけでなく、アプリをインストールすることでタブレットやスマホで図面を編集することも可能になります。

また、BYOD(個人のPCやスマホを仕事に使うこと)が実現しやすいのも、クラウド×CADのメリットの1つ。企業側は新たにモバイル機器を購入しなくて良いので経費削減につながり、個人にとっても普段使い慣れた端末で作業ができるという良さがあります。ただし、BYODは情報流出が生じやすい場合があるのも事実なため、ウイルス対策ソフトを導入するなどの対策が必要です。

チームでの共有や作業が容易に

クラウドを利用すれば、チームでの作業の利便性が高まります。メンバーとして登録を行うだけで、たとえ海外のチームメンバーとでも、最新の図面データに同時にアクセスし、並行して作業を行ったりスムーズに作業を引き継いだりできるようになります。テレビ電話などを駆使すれば、まるで同じオフィスにいるのと同じように仕事を進めることができるでしょう。

また、クライアントに図面をお見せしたり要望を聞いたりする際も、権限を共有するだけで同じ図面を見ることができ双方ともに利便性が高まります。

時間のかかる演算処理のスピードアップ

CADデータには大量の情報が詰まっているため、PCに負担がかかるという悩みを持つ方はこれまで少なくありませんでした。特に設計データを元に完成図を生成する演算処理(レンダリング)など3DCADで行われる作業には、最新のPCを用いても大量の処理時間が必要になることも。クラウド機能のあるCADソフトの一部は、インターネット上のリソースを使って演算処理を行うことで、作業用のPCを負担から解放してくれます。その結果演算処理の間もほかの作業を進めることができ、その上処理にかかる時間も削減することができます。

常に最新版への更新が行われる

クラウドの5つめの利点は、自動でアップデートが行われるため、常に最新版のソフトウェアが利用できるということです。ソフトの機能は予期せぬタイミングで更新されるため、ソフトのポテンシャルを十分に発揮させるには、クラウドの形で利用するのがベストだといえます。また、作成したデータの保存やバックアップの作成も自動で行われるクラウドでは、データ消失のリスクがほかよりも抑えられることが期待できます。

2.クラウド機能を持つCADソフト4選

クラウド機能を持つCADソフト4種類の概要や価格、対応OSをご紹介します。

ポピュラーなAutoCAD mobile app

建築業界などで非常にポピュラーなCADソフトAutoCADのモバイルアプリ版です。価格は単体で5,400円ですが、AutoCADまたはAutoCAD LTに加入すれば無料で利用することができます。手持ちの端末にダウンロードすれば、作業中に最新の図面を確認したり、タッチ操作などのモバイル端末に適した手段で作図を行ったりすることができます。

価格
5,400円/年(AutoCADまたはAutoCAD LTに加入すれば無料、ストレージを拡張したultimate版は1万6,200円/年)
体験版
有(7日間無償で体験可能)
WEBサイト
https://www.autodesk.co.jp/products/autocad-mobile/overview

初期投資抑制にも役立つCATIA 3Dエクスペリエンス on the Cloud

フランス、ダッソーシステムズ社の高機能CADソフト、CATIAの最新版もクラウドで提供されています。高性能なPCやモニターが必要ないため、従来に比べ、初期投資が抑えられます。また、オンライン上の「3Dエクスペリエンス・プラットフォーム」にアクセスすることでいつでもどこからでもデータにアクセスでき、24時間サポートなどのサービスが受けられます。

ものづくりを一気通貫で行えるFusion360

Autodesk社の3次元CAD/CAM/CAEソフトです。設計、製造、シミュレーションというものづくりに不可欠なプロセスのすべてをクラウド上のプラットフォームで行うことができます。チームでの作業にも適しており、別々に設計された3Dモデルを結合したり、結合前のファイルに対する変更を結合後のデータにも反映したりすることができます。

価格
6万480円/年
体験版
有(一般:1カ月間無料で試用可能、学生・個人・スタートアップ:3年間無料で使用可能)
WEBサイト
https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview

無料で使えるWebCAD

インターネット環境があれば利用できる家の間取り作成用の無料のCADソフトです。ブラウザのみで非常に簡単に利用することができます。パズル感覚で非常に簡単に図面を制作可能で、3Dモデル化した建物内を自由に内覧することもできます。VR表示や3Dプリンタにも対応しており最新の技術への対応もばっちりです。

価格
無料
WEBサイト
http://www.webcad.jp/index.html

3.クラウド×CADで効率アップを実現しよう

クラウドとCADの組み合わせで得られるメリットとクラウド機能を持つCADソフトについてご説明しました。クラウドを用いることで作業効率や利便性は大幅にアップすることが期待されます。うまく仕事にクラウドを生かせないかぜひ考えてみてください。