CAD用のパソコンの必須ポイントは? ノートパソコンは使える?
CADを使う際に必要になるのは、作業の目的に合ったCADソフトとパソコンです。しかし、未経験からCADオペレーターを目指す場合、「CADを使えるようになりたいけれど、どんなパソコンを用意したらいいのかわからない」と迷うこともあるでしょう。今回は、そんな方に向けてCAD用パソコンを買う際のポイントや購入費用を抑えるコツを紹介します。
1.CAD用パソコンを買うときに注目すべき5ポイント
CAD用パソコンを購入する際には、以下の5ポイントに注目しましょう。なお、CADソフトによって動作環境が違いますので、ここで紹介する内容はあくまで目安と考え、パソコンの購入前には使用する予定のCADソフトの公式サイトで推奨スペックを念入りに確認してください。
【1】メモリの大きさ
メモリとは、一時的にデータを記憶する部品です。さまざまな動作を同時進行したり、データ量の多いソフトを使用したりすると、メモリに記憶するデータが増えすぎてしまい、パソコンの動作が遅くなります。
CADで製図作業を行う場合には、数100MBの大きなデータを扱うことが多いです。よって、パソコンのメモリ容量が小さいと、動作が遅くなったり、作業中にフリーズしたりするなどの悪影響が出ることがあります。
そうならないために、メモリの大きさは2DCADであれば4GB以上、3DCADであれば8GB以上を選びましょう。よりスムーズに操作したい場合や、扱うデータ量が多い場合は16GB以上がおすすめです。
CADを使う際におすすめのマウスについてはCADオペ必見!マウスの種類や選び方・おすすめポイントをご覧ください。
【2】CPU
CPUはパソコンのデータ処理の中枢を担う、非常に重要な部分です。複数のメーカーからリリースされていますが、代表的なのはIntel(インテル)のものです。Core i3、Core i5、Core i7などの種類があり、数字が大きいほど高性能になります。
CPUもメモリ同様、CADのような大きなデータを使用する場合はある程度の性能が必要になってくるので、Core i5以上を選びましょう。
【3】OS
OSとはパソコンの仕組みを指している言葉で、WindowsとMacが一般的です。Windows10などの64ビット環境であれば、多くのCADソフトが使用可能ですが、ソフトによってはWindowsでは使用可能でも、Macには対応していないという場合があります。自分が使いたいCADソフトの公式サイトを確認し、推奨しているOSは何なのか調べておきましょう。
【4】画面解像度
画面解像度とは、パソコンのモニター画面のきめ細かさを示すもので、数値が大きいほど画面がキレイにはっきりと見えます。CADを使う場合に一般的なのは、フルHDサイズ(解像度:1920×1080)です。より図面の詳細まで鮮やかに表示したいという場合は4K(解像度:3840×2160)モデルがおすすめです。
CAD用パソコンのモニターについて詳しくはCADの作業用モニターでこだわるべきポイントとは?をご覧ください。
【5】グラフィックボード
グラフィックボードとは、画像の発色数や表示の周波数、解析度などを上げて画像や映像をきれいに表示できるようにするものです。グラフィックボードがなくても、CADを操作すること自体は可能です。ただ、3DCADなどで高度で複雑な3Dグラフィックを扱う場合は搭載した方が作業がスムーズになります。
CADを使う場合には、CADや3Dグラフィック制作に最適化されているシリーズの商品を選ぶべきです。その点も合わせてネットリサーチや量販店での相談の際ご確認ください。なお、購入予定のCADソフトに推奨されているグラフィックボードがある場合はそちらがベストです。
【コラム】ノートパソコンでCADは使える?
ノートパソコンでもCADは使えますが、3DCADの場合はハイスペックであることが条件です。
一般的には、ノートパソコンよりもデスクトップパソコンの方が高性能でモニターも広々としています。そのため、大量のデータを扱ったり、図面の詳細を確認するためにある程度の大きさのモニターが必要となるCADでは、デスクトップパソコンの方が作業しやすい傾向にあります。
ノートパソコンで3DCADを使いたい場合は、16GB以上のメモリで高性能なグラフィックボードが搭載されているものを選ぶと良いでしょう。また、事前にCADソフトの推奨環境を確認するのも忘れないようにしてください。
2.2DCAD用PCと3DCAD用PCの違いとは?
CADには、2次元の図面を作成する2DCADと、立体モデルを作成する3DCADがあります。どちらを使用するかによって、パソコンにも違いが出てきます。
3DCADではグラフィックボードが必須
3DCADの場合、高度で複雑な3Dグラフィックを扱うため、グラフィック処理機能の高いグラフィックボードが必要になります。3Dグラフィック制作に最適化されているグラフィックボードが搭載されているパソコンを選びましょう。
すでに買ってしまった場合でも、自作パソコンやBTOパソコンであれば後からグラフィックボードを交換・増設することもできます。
2DCADなら比較的低スペックでもOK
2DCADの場合、3DCADに比べて扱うデータ量が少ないため、3DCADを使う際のような高性能のパソコンでなくても操作可能です。例えば間取り図や設計図を書くだけであれば、グラフィックボードのないもので構いません。
それぞれ必要なディスク空き容量は?
2DCADに比べて、3DCADの方がデータ量が大きいので、当然3DCADの方がディスク空き容量が多く必要になります。CADソフトによって差がありますが、2DCADでは1GB以上、3DCADでは6GB以上が目安です。
3.CAD用パソコンの費用を安く抑えるコツは?
「CAD用のパソコンを購入する費用を抑えたい」という方も多いでしょう。ここではCAD用パソコンの費用をなるべく安くするコツを3つご紹介します。
中古で買う
中古のパソコンであれば、当然ですが新品よりも費用を抑えられます。特に、3DCADで必要となるグラフィックボードが搭載されたパソコンは新品で買うと大きく値が張るため、中古で購入すると大幅に価格を抑えられることもあります。ただし、安いと思って買った製品が故障していた、というトラブルもなくはないため、購入前には必ず販売元が信頼のおける業者か念入りに確かめることをおすすめします。
BTOで買う
BTO(Build To Order)とは受注生産のことで、予算や目的などに応じてパソコンの部品をカスタマイズできるのが特徴です。同じようなスペックでも、家電量販店などで購入できるパソコンメーカーの製品に比べて安く購入できます。
3DCADを使う場合は高性能のグラフィックボードを搭載したり、メモリを大きくしたりでき、2DCADを使う場合は必要最低限のスペックにして低価格で購入することも可能です。
自作する
パソコンに関する知識がないと難しいですが、自作すればかなり費用を抑えられます。自分で組み立てると、パーツの選び方によっては完成品を購入した場合の半額以下で済む場合もあります。
4.パソコン選びは目的に合わせて
CAD用のパソコンは、2DCADと3DCADのどちらを使うのかや、使用するCADソフトによって満たすべき条件が変わってきます。自分がCADを使う目的は何なのか、その目的にはどのCADソフトが合っているのかをしっかり把握して選びましょう。