派遣社員は大手企業に勤めやすい? 大手のメリット・デメリットも紹介

正規雇用としてよりも派遣社員としての方が大手企業に勤めやすい、といわれることがあります。実際のところ、そのうわさは本当なのでしょうか? また、大手企業と中小企業、どちらの派遣先を選んだ方が良いのでしょうか? ここでは、それらの疑問についてお答えします。

1.派遣社員は大手企業に勤めやすいって本当?

まずは、派遣社員は大手企業に勤めやすいという話の真相について解説いたします。

派遣社員は大手企業に勤めやすい

派遣社員は大手企業に勤めやすい、というのは事実です。大手企業の場合、一般的な求人サイトなどで欠員募集をすると、その知名度や人気から応募者が殺到するため、選考に多くの時間がかかってしまいます。そこで、派遣会社を利用すれば、その企業に合った人材を派遣会社がピックアップしてくれるため、大手企業側の採用にまつわる業務が少なく済むのです。もちろん、新卒採用や幹部候補の採用の場合は派遣社員から募集されることはありませんが、補助的な業務や欠員の穴を埋めるような業務であれば、派遣社員の方が就ける可能性が高いといえます。

紹介予定派遣なら直接雇用のチャンスも

紹介予定派遣の場合、大手企業で働けるだけでなく、直接雇用してもらえる可能性もあります。派遣には「一般派遣」と「紹介予定派遣」があり、前者は派遣期間の終了に伴ってその派遣先との契約は切れますが、後者は派遣期間の終了後に派遣先と派遣社員本人の合意があれば直接雇用となります。 直接雇用を前提としつつ、まずは派遣社員として働くことで、お互いのミスマッチがないかを確認するのが紹介予定派遣の目的です。派遣期間終了後の雇用形態は正社員や契約社員などさまざまですが、大手企業の直接雇用を目指す人は大手企業の紹介予定派遣として働くのも1つの方法といえます。
紹介予定派遣について詳しくは紹介予定派遣のメリットや面接突破のポイントとは?をご覧ください。

大手を目指すならどの派遣会社がおすすめ?

大手企業への派遣を目指すのならば、以下のような派遣会社がおすすめです。

大手派遣会社

大手ならではの営業力と知名度を誇る大手派遣会社は、大手企業の求人がたくさん揃っています。また、幅広い業種の求人があるのはもちろん、未経験でもOKな仕事からハイキャリア向けの仕事まで、それぞれの需要に合った仕事探しができるのが強みです。

特定の業種に特化した派遣会社

希望の業種が定まっている場合は、特定の業種に特化した派遣会社がおすすめです。その業界に精通しているため、大手派遣会社では見つからないような、より希望に近く専門性の高い求人に出会うことも可能です。また、業界の内情に詳しいスタッフも多いため、業種特有の悩みを相談しやすいというメリットもあります。

派遣会社を選ぶポイント

派遣会社は、選び方次第で今後の生活やキャリアに大きく関わってくることもあります。そこで、より良い派遣会社を選ぶためのポイントを紹介します。

自らの希望に合った仕事があるか

派遣会社は、医療系や金融系など一定の職業の派遣に強い場合もあれば、未経験可の派遣を多く取り揃えている場合もあるなど、それぞれの特色があります。ご自身の希望の働き方がその派遣会社の特色に合っているかを照らし合わせながら選ぶことが大切です。

サポートは手厚く受けられるか

派遣会社によっては、福利厚生の一環としてスキルアップのための研修や講座を受けられるサービスが充実していたり、健康診断を実施していたりするところもあります。また、派遣会社には派遣先の企業と派遣社員の間に立ち、双方が満足できるよう調整するコーディネーターがいます。コーディネーターによるカウンセリングから自分の希望に合った職種を新たに見つけられたり、彼らに派遣先での悩みなどを相談できたりする場合もあります。キャリアアップやより働きやすい環境を求めるのならば、こうした面にも注目して選びましょう。

経営状態は良好か

派遣社員は、派遣先の企業で仕事をするものの、その給料は企業ではなく派遣会社から支払われます。そのため、派遣会社の経営状態が安定していない場合、給料の遅延や未払いが発生する可能性もあります。さまざまな企業への派遣実績があり、経営基盤がしっかりしている派遣会社を選べばそうしたリスクは少ないでしょう。

【コラム】そもそも大手企業とは?

そもそも、大手企業の明確な定義はありません。あえて大企業と中小企業を区別するとしたら、中小企業基本法による中小企業の定義に従って判断するのが良いでしょう。中小企業基本法では、以下の表の通り、業種と資本金・常勤の従業員数に従って、大手企業は定義されます。

大手企業の条件(中小企業基本法による中小企業の定義を超える)

  • 業種
  • 資本金・出資の総額
  • 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業、その他の業種
3億円超
300人超
卸売業に属する事業
1億円超
100人超
サービス業に属する事業
5,000万円超
100人超
小売業に属する事業
5,000万円超
50人超

2.派遣先は大手と中小、どっちが良い? メリット・デメリットを比較

派遣先としての大手企業・中小企業は、どちらにもメリットやデメリットがあります。

大手企業のメリット・デメリット

まずは大手企業に派遣された場合のメリットやデメリットをみてみましょう。

メリット1:オフィスの環境が良い

大手企業は、主要駅近くに社員食堂付きの自社ビルを構えていたり、大型ビルのワンフロアをオフィスとして利用していたりすることが多いです。そのため、通勤がしやすいだけでなく、ランチや就業後の飲み会の場所に困ることがありません。オフィスの環境が良好だと、働くうえでのモチベーションにもつながります。

メリット2:契約内容がしっかり守られる

大手企業は分業制が進んでいることと、コンプライアンス(法令遵守)にしっかり則っていることから、契約以外の仕事を頼まれたり、残業をお願いされたりすることはほとんどありません。定時できっちりと仕事を終えたい方にはピッタリです。

デメリット1:さまざまな仕事に関われない

分業制が進み、コンプライアンス体制が整っている大手企業は、見方を変えれば与えられた仕事しかできない環境でもあります。よって、毎日同じような作業を繰り返すことを苦痛に感じる方や、さまざまな仕事に携わって経験を積みたい方には向いていません。

デメリット2:正社員登用の可能性は低い

大手企業では、正社員と派遣社員の区別がはっきりとしており、派遣社員に対して「こちらが頼んだ仕事をこなしてくれる」以外のことを求めていない場合もあります。そのため、いくら仕事をスムーズにこなしていても、正社員登用の話が来ることはさほど多くはありません。派遣から大手企業の正社員を希望する場合は紹介予定派遣を利用しましょう。

中小企業のメリット・デメリット

続いて中小企業に派遣された場合のメリット・デメリットです。

メリット1:さまざまな仕事に関われる

中小企業では、さまざまな仕事を兼任している社員も多く、職種の境目が曖昧な傾向にあります。例えばデータ入力スタッフとして派遣された場合でも、やがて資料作成や企画立案に関わる機会があるということも珍しくありません。いろんな業務を幅広く経験し、キャリアアップにつなげたいという方に最適な環境です。

メリット2:長期雇用が望める

中小企業は人数が少ないため、派遣社員でも社員や役員と密に関わることが多いです。そのため、与えられた仕事を短時間で正確にこなすなどして仕事の成果を出せば社員や役員に実力を買われて直接雇用や長期雇用の話が出るケースもあります。

デメリット1:契約外の仕事を頼まれやすい

さまざまな仕事に関われるということは、ある意味では契約以外の仕事を頼まれやすいともいえます。企業によっては、契約時の仕事には入っていなかったはずの来客へのお茶出しや備品の買い出し、社内の掃除などをお願いされることもあります。

デメリット2:職場によっては残業が多いことも

派遣社員であっても契約以外の仕事を頼まれやすいということは、残業の発生につながる可能性が高いといえます。また、中小企業は大手企業ほど分業制が進んでおらず、個人の業務量が多くなりがちなので、残業することが社内の空気として当然になっている場合もあります。

3.派遣会社・派遣先は自分のタイプに合わせて選ぼう

派遣社員は大手企業で働けるチャンスも多く、一般的な求人サイトでは見つからないような仕事にも多く出会えます。また、派遣社員としての登録先や就業先を選ぶ際には、ご自身のライフスタイルや将来的なビジョンに照らし合わせることも大切です。