いま注目!土木女子(ドボジョ)って何?

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長い間「男の仕事」というイメージが強かった土木業界で、近年は活躍する女性が増え、ついには「ドボジョ」と呼ばれ、その存在が脚光を浴びるまでになっています。今回はそんな「ドボジョ」の仕事について詳しく紹介していきます。

いま注目! のドボジョ

「ドボジョ」とは土木女子の略で、土木業界で活躍する女性たちに対する愛称です。歴史愛好家の女性を「レキジョ」、釣り愛好家の女性を「ツリジョ」というように、珍しい趣味を持つ女性たちを「◯◯ジョ」とカテゴライズして話題にする風潮から生まれた言葉です。
「ドボジョ」はこれまで男性主体だった土木業界で活躍する女性が増えてきたという、社会情勢の変化を示した言葉でもあります。実際に、趣味の分野における「◯◯ジョ」という呼び方も、それまでは男性が多いとされてきた分野を楽しんでいる女性たちを指していることが多いようです。
以前は、女性の仕事といえば事務や販売、専門的なところでは教師や看護師などが一般的でした。しかし近年では、働く女性たちがさまざまな分野で活躍するようになり、「男の仕事」といわれていた場所でもイキイキと働く女性の姿が見られるようになっています。「ドボジョ」もその一例であり、女性の働き方が多様になった結果といえるでしょう。

土木業界ではどんなお仕事をするの?

土木女子「ドボジョ」が活躍する土木の業界。そこにはどのような仕事があるのでしょうか?

土木業界とは

土木とは建設業のうち、建築以外のものと定義されています。簡単にいうと、街並みをつくる仕事のうち建物を除いたものすべてということです。つまり、道路や橋、鉄道、港、河川の堤防、山の法面、ダムなど、人々の生活に密接にかかわるインフラ領域のありとあらゆるものをつくっている業界です。
建築業と土木業の違いの1つが、つくるものの大きです。山を貫き、どこまでも続く道路や鉄道はビルや建物に比べてはるかに規模が大きく、巨大な船が何隻も入ることのできる港は、どんな船舶よりも大きいものです。つまり、ものづくりの業界の中で最も大きなものをつくるのが、土木業界の仕事です。

土木業界の魅力は大きなものをつくることだけではありません。人々の暮らしを守ることも土木の大切な仕事です。例えば、河川の堤防や山の法面、ダムなどを整備し、災害など自然の脅威から人々の命を守り、安全で快適な暮らしを維持することも大切な役割です。
その他にも身近なところでは、水道管の交換や道路の舗装工事があります。それらより規模の大きい高速道路やトンネル、橋など人々の生活を支える、いわゆるインフラの整備も土木業界の仕事です。

土木業界の職種

土木業界には大きく分けて5つの職種があります。

  1. 研究開発
  2. 土木計画、調査
  3. 土木設計
  4. 土木工事
  5. メンテナンス

それぞれについて順番に紹介します。

1.研究開発

自然災害の防止や環境改善に関する研究、開発を行う職種です。
具体的な内容としては、土砂災害を防ぐために山の法面にどのような工事をするかという研究や、高速道路や鉄道などの高架に対する耐震、免震の技術開発。さらに工事に使う資材のリサイクルや建設費用の低減についての研究など、土木におけるさまざまな分野の研究開発を行っています。

2.土木計画、調査

建設予定地の測量や、その場所に建造物をつくることによる周辺環境・景観への影響を調査します。例えば、堤防であれば周辺の地形を測量したり、どこにつくれば効果的に水害を防ぐことができるのかを調査したりして、どのような堤防をつくるかを計画します。またその堤防をつくることで、周辺の生態系や環境にどのような影響が起きるかを調査します。

3.土木設計

土木計画で計画されたものを、実際に工事をするために必要なさまざまな計算と方法を考えるのが土木設計の仕事です。
土木設計でも例に挙げたような堤防であれば、河川が増水した際にはどれくらいの力が堤防にかかるのか、その力に堪えるためには堤防の形状や大きさをどうすればいいのかなどを計算し、設計していきます。具体的に使う材料や工事の方法などを考えるのも設計の大切な役割です。
設計が決まると、設計者はその内容を図面に起こします。ここで必要になるのがCADの技術です。かつて図面は手書きで描かれていましたが、IT化の波にともない現在ではCADで描かれるようになりました。
大きなものをつくることが多い土木業界の特性上、工事に関わる業者の数も多く、工事の進み具合や工事を進める場所ごとにたくさんの図面が必要になります。そのような場面では、設計者のアシスタントとしてCADオペレーターが活躍しています。

4.土木工事

一般的に「土木」と言われて思い浮かべるのがこの職種ではないでしょうか。土木工事は、設計の段階で描かれた図面をもとに、施工を担当します。
堤防であればまず、流れてくる水を一時的にせき止め、ショベルカーなどの重機を用いて土を盛ります。それをコンクリートで固めて私たちが日ごろ目にする堤防の形をつくっています。
工事とともに大切になるのが施工管理です。施工管理は、工事日程の管理や工事を行うことについての周辺住民への連絡、工事のために集合した複数の業者間のスケジュール調整などを行ないます。また工事の中で事故が起こらないように監督することも施工管理の大切な仕事です。

5.メンテナンス

傷んだ舗装の修繕や橋脚の安全点検など、いまある建造物を安全で快適に使うために必要なのがメンテナンスの仕事です。
古くなった水道管の交換のような作業も、メンテナンスに含まれます。道路が陥没したり、水道管が破裂したりするなどの問題が起きれば、人々の生活に大きなダメージを与えます。人々の生活を守るため、問題を事前に防ぐためのメンテナンスは欠くことのできない大切な仕事です。

土木業界に女性は向いていない?

長い間、土木業界が男の世界と認識されていたのはなぜでしょうか? そして女性は本当に土木業界に向いていないのでしょうか? ものづくりにおける土木業界の特徴などを交えて検証していきます。

土木業界は男性の世界?

土木業は3K労働であるといわれてきました。3Kとは「きつい、汚い、危険」の頭文字である「K」を指しています。土木工事の現場では力仕事が多く、土などに触れながら働くため汚れてしまうこともあります。
また、大きくて重い物を運んだり、力の強い重機を扱ったりすることから、一歩間違えれば命に関わる重大な事故につながる可能性もあります。そうしたことから土木業は「きつい、汚い、危険」の3K労働だといわれており、そのような場所で女性が働くことはふさわしくないという考えが長く残っていました。

しかし、重機や道具の発達により、昔に比べれば力仕事は大幅に少なくなりました。また安全管理についても意識が高まり、重大事故の数も減少しています。そういった変化により、近年では土木工事の現場にも女性の姿が見られるようになりました。腕力で劣る部分があったとしても、それ以外の技術や能力でカバーできるという考え方もできます。
さらに土木業界の職種でもご紹介したように、土木と一口に言ってもその業務内容はさまざまです。土木工事の現場だけでなく、研究開発や計画、調査、設計、施工管理など、分野も幅広く、能力を生かして活躍する女性が増えてきています。

土木業界で女性が活躍しやすい場とは?

雇用機会や労働契約の男女平等化により、男性と同じように働く女性が増えてきました。しかし、女性は男性に比べて力が弱いこともあり、女性では活躍しにくい仕事があるのも事実です。土木業界でも、土木工事の現場などはいまも力仕事が多くあるため、女性には体力的に厳しい面もあります。
一方で同じ土木工事の職種でも、施工管理の仕事で必要になるのは力よりも周辺との調整能力です。このような仕事は、女性でも男性と同じように活躍することが可能です。個々の能力による部分も大きいですが、一般的には女性の方がコミュニケーション能力に長け、細かい気配りができるといわれていることもあり、施工管理の仕事でも活躍する女性が増えています。

土木の仕事は力仕事だけじゃない!

職種の部分でもご紹介したように、土木における業種や業務の内容はさまざまなものがあります。そのため、女性が担当する仕事もたくさんあります。まず、テレビなどのメディアで女性の活躍する姿が取り上げられることが多いものとして施工管理があります。腕力よりもコミュニケーション能力や、現場の調整能力が必要とされる職種ですので、女性に向いているともいわれています。
さらに、研究開発や調査研究、設計の仕事もあります。これらの職種は専門的な知識や考える力が問われます。どの職種も土木業界における専門的で重要な役割を担っています。

土木業界でのCAD

土木設計も力仕事ではない土木の仕事です。つくろうとするものに掛かる力や耐久性などを計算し、つくるものの形を決め、それを図面にして、工事担当者に伝えます。このときに必要なのがCADのスキルで、CADオペレーターの力が必要とされます。
設計者が考えた形状を図面にしたり、各業者に指示を出すための詳細な図面を描いたりするのが土木業界のCADオペレーターの仕事です。基本的にはパソコンに向かってデスクワークをこなす仕事ですので、土木業界と聞いてイメージするような3Kの仕事内容ではありません。そのため、女性でも働きやすい土木の仕事といえるでしょう。実際に最近は設計事務所などでパソコンに向かって作業をしている女性の姿は増えているようです。

土木の仕事の魅力は、ものづくり業界の中でも規模の大きいものがつくれるところや、街並みをつくり、防災対策など人々の暮らしを守るところにあるでしょう。また、土木業に限定されないCADオペレーターの仕事の魅力として、自分が図面を描いたものが完成したり、製品として実際に使われていたりするのを当事者として見みることができる点が挙げられます。

CADオペレーターとしてドボジョの世界へ

女性でも参入しやすいCADオペレーターの仕事から土木の世界に入り「ドボジョ」としてものづくりに携わる喜びを味わってみるのもいいかもしれません。
CADオペレーターもコンピューターを用いた専門的な仕事であるために、かつては男の仕事であるといわれていました。しかし現在では、柔軟な働き方が選べるなどの理由により、CADオペレーターを目指す女性も増えています。
土木が男性の世界であると考えられていた時代が「昔の話」といわれる日も、そう遠くないかもしれません。