二級建築士の製図試験を独学で突破するには?

二級建築士の資格を取得しようと考えているものの、「独学で挑戦する」か「資格学校に通って勉強する」か、悩んでいる方もいるでしょう。 今回は、二級建築士の「学科試験」と「製図試験」のそれぞれについて、独学で突破できるのかを考えていきます。

二級建築士の試験は独学で合格できるのか?

二級建築士試験を受験するには、建築士法第15条で定められている要件を満たす必要があります。学歴要件や実務経験についての定めがあるほか、入学年度によって条件が変わるなどの細かな規定もあります。受験を検討している方は試験の実施機関である建築技術教育普及センターのホームページで、その年の受験要領を確認しましょう。

 

二級建築士の試験は学科の試験(以下、学科試験)と設計製図の試験(以下、製図試験)で構成されており、「学科の試験」に合格しなければ「設計製図の試験」を受験できません。

 

さっそく、それぞれの試験に「独学で合格できるのか」を考えていきましょう。

二級建築士の「学科試験」は独学で合格できる?

二級建築士の学科試験の内容は以下の4科目です。「製図試験」に比べれば独学で合格しやすいといえます。

▼学科Ⅰ(建築計画)
環境工学、計画各論、建築設備、意匠建築史などの分野から出題

▼学科Ⅱ(建築法規)
建築基準法が主で、そのほか建築士法、関係法令から出題

▼学科Ⅲ(建築構造)
構造力学、一般構造、建築材料から出題

▼学科Ⅳ(建築施工)
各種工事に関する問題、契約・計画・管理に関する問題などが出題

上記のとおり学科試験は広い範囲から問題が出題され、当然ながら選択肢には正解と間違えやすい紛らわしいものが含まれている場合もあります。限られた試験時間の中で正解を選ぶには、問題を正しく理解する知識を身に付けておかなければなりません。

ただし、出題範囲は広いものの、学科試験は基本的に知識を問うものです。勉強はもちろん大変ですが、実際に独学で合格したという声も少なからずあります。

二級建築士の「製図試験」は独学では合格できない?

学科試験に合格すると受験できるのが「製図試験」です。学科試験に合格した年の製図試験が不合格だったとしても、その翌年と翌々年は学科試験を受けずに製図試験を受験することができます。製図試験の制限時間は5時間で、要求される条件を満たす図面を時間内で製図することが求められます。

製図試験は事前に課題が公表されますが、試験当日までは詳細が分かりません。そのため、学科試験終了から製図試験までの約2カ月の間で、さまざまなパターンを考えながら準備をする必要があります。

※2019年の日程は、製図試験の課題公表が6月12日(水)、学科試験が7月7日(日)、製図試験が9月15日(日)でした。

 

学科試験と同じく、二級建築士の製図試験も独学で合格できないことはありません。現に、資格学校などに通わず自力で合格される方もいます。ただし、独学で合格することは難しいという意見が多いのも事実です。特に社会人の方は仕事と学習の両立が難しいこと(自分のさじ加減で勉強量を調整できてしまうこと)、また、独学では基本的に他者から添削を受けられないこと(自分のミスに気づきにくいこと)などが理由として挙げられます。

独学で二級建築士を目指すデメリット

繰り返しますが、製図試験は独学での合格が難しいとする声も多いです。上述したように、多くの方が「独学では頼る先がない」という点をネックに感じているようです。実際、独学で製図試験の突破を試みたものの不合格となり、結果的に資格学校に通うことで二級建築士の資格を取得した方もいます。

 

資格学校に通うメリットとしては、講師による添削でミスに気づけることや、課題が出されるので強制的に勉強しなければならない環境を作り出せることが大きいでしょう。分からないことがあれば講師に質問できる環境は大きなメリットといえます。また、製図試験は時間との戦いでもありますが、資格学校では製図の基本的なテクニックや時短術なども学べます。

 

独学で二級建築士試験にチャレンジする場合は、資格学校に通うことのメリットも把握したうえで判断することをおすすめします。

独学で二級建築士試験に合格するには?

学科試験の独学の方法としては、市販されている過去問や分野別問題集を活用する手があります。本番では過去問にはない新傾向問題が出題されることもあるため、その問題を取りこぼしてしまった場合に備え、完璧に近い状態で過去問に解答できるようになっていることが大事です。建築技術教育普及センターのホームページから過去3年分の過去問を手に入れることができます。

 

また、学科Ⅳ(建築法規)の試験には法令集を持ち込むことができますが、いかに迅速に法令集を引けるかが肝心なので、マーカーを引いたり見出しを付けたりして、引きやすい状態にするように工夫しましょう。なお、建築基準法はたびたび改正されるので、必ず最新版を使用してください。

独学で「製図試験」を突破するポイント

製図試験の独学方法も学科試験と同様、基本的には市販のテキストを活用することになります。ポイントは、まず基礎を身に付けてから多くの課題をこなすことです。何度も製図することでスピードを上げ、同じ問題に繰り返し取り組むことで解答パターンを身に付けます。

 

また、独学であっても他者に添削してもらう機会や、質問に回答してもらう機会を設けることは重要です。市販テキストにも解説は付いていますが、自分一人で理解するには時間がかかる、あるいは理解した気になるといったことも考えられます。

 

そんなとき、気軽に質問できる二級建築士や資格学校に通う知人などがいると、効率化という点でも強みになります。建築士事務所に勤務している方は、同僚や先輩にアドバイスをしてもらえないかお願いしてみるのも良いかもしれません。図面添削をピンポイントで行う有料サービスや、資格学校が実施している比較的安価なWeb講座などを活用するのも手です。

 

このほか、どのような製図道具を使用するかもポイントです。製図試験には三角定規や勾配定規、シャープペンシルや消しゴムなどさまざまな道具が必要になりますが、平行定規のようにそれなりに値の張るものもあります。買い渋って使いづらい道具を選んでしまうことがないよう、必ず自身に合ったものを購入してください。

二級建築士を独学で突破するには努力が必要

独学でも二級建築士試験に合格することはできますが、個人がどれだけ努力したかは最終的な合否に大きな影響を与えます。これは資格学校に通う場合も同じですが、独学の場合はさらに「努力をするための自己管理」が必要になります。

強制力がない状態で勉強したり、情報収集したりすることが苦手な方は、資格学校の方が向いているかもしれません。