CADスクールや専門学校のCAD学科で学べることとは?

CADオペレーターやCAD設計士として働くには、CADの知識を身に付けなければなりません。その際、最も確実な手段がCADスクールや専門学校のCAD学科に通うことです。この記事では、学べる内容やかかる金額など、CAD講座の受講を検討するにあたって役立つ知識を紹介します。

CADスクールとは

CADスクールとはCADが学べる専門学校のことです。また、大手専門学校では学科の1つとしてCADを扱っている場合もあります。多くの場合、駅前など通いやすい場所に位置し、教室で講師から直接CADの操作スキルや製図の知識などを教えてもらうことになります。受講期間はコースによりますが、おおよそ3カ月~6カ月が平均的です。なお、通信制のコースを設けているスクールもあります。その場合は動画で授業を受けつつ、オンラインで課題を提出する形が一般的です。

CADスクールで学べること

  • 2次元、3次元CADの基本的な操作スキル
  • 建築CAD、機械CADなど特定のCADの操作スキル
  • 設計・製図の基本知識
  • CADを使った製図・修正方法
  • CAD利用技術者試験などの資格の対策方法

基礎から実務レベルの内容まで段階を踏んで学ぶことができるため、初心者でも安心してCADの学習を始めることができます。建築・機械など選んだコースによって学べる知識や取り扱うCADソフトの種類は異なります。

CADスクールで学ぶメリット・デメリット

デメリットは、お金がかかるということです。CADの操作方法を基礎から一通り学ぶ場合、スクールにかかるお金は入学金・受講料を合わせて最低でも10万円を超えることがほとんど。AutoCADなど単体のソフトだけの場合や基礎中の基礎だけを学ぶ場合それよりは安くなりますが、それでも数万円は必要です。決して安い金額ではないため、まずは無料で資料を取り寄せて、その金額を払っても納得できる学校・コースを見極めることをおすすめします。

CADスクールにかかる金額を安くするには?

CADスクールにかかる金額を少しでも抑える方法として「教育訓練給付制度」と「合格保証制度」の2つが挙げられます。

教育訓練給付制度は、ハローワークから全講座費用の最大20%(上限10万円)が給付される制度です。労働者の主体的な能力開発や中長期的なキャリア形成の支援を目的として厚生労働省により、実地されています。
制度を利用するための条件は、以下の3点のみ。

  • 雇用保険に1年以上(2回目の利用以降は3年以上)加入していること
  • 在職中または退職後1年以内であること
  • 前回の制度の利用から3年以上経過していること

厚生労働省が認可する教育機関であれば制度が利用できますので、サイトや電話で教育訓練給付制度が利用できないか一度確かめてみると良いでしょう。

合格保証制度は、資格試験を突破できなかった場合、翌期の授業料が免除されたり再受験の費用が受け取れたりする制度です。資格試験の合格を目指すような高額のコースにおいてCADスクールが設けている場合が多いです。初心者でもプレッシャーを感じず安心して試験に臨めるため、CADの資格を取得したい場合は候補のスクールが合格保証制度を採用していないか確認してみてください。

CADスクール選びのポイントとは?

CADスクール選びでは、まず何よりも授業内容が自分の目標と合っているかどうかを重視しましょう。一口にCADといっても建築・機械・アパレルなど用いられる場面によって学ぶべきことは大きく異なります。自分の進みたいキャリアに沿った授業が受けられるスクール・コースを選んでください。
加えて、通いやすい校舎を選ぶことが重要です。働きながら勉強する場合、仕事を終えてからスクールに通う生活になるでしょう。ただでさえ仕事で疲れた状態で遠方のスクールに通うには相当の根気が必要になります。CADの勉強はただでさえハードなもの。受講に当たって立ちはだかるハードルは、なるべく取り除いておきましょう。

【初心者・実践・専門】コース別学べるスキル・受講料比較

CADスクールには大きく分けて、初心者、実践、専門の3つのコースがあります。ここでは、料金相場や使用ソフト、学べる内容などそれぞれのコースの概要をご説明します。

本記事に掲載している講座コースはあくまで一般的なコースを紹介したものになります。CADJOBサイトやオールウェイズでは実施しておりませんのでご了承ください。

初心者(基礎)コース

  • 料金相場:5~25万円
  • 受講期間:1日~6カ月程度
  • 主な使用ソフト:AutoCAD、Jw-cad

初心者向けにCADソフトの使用方法や製図の基本を教えてくれるコースです。基礎といってもソフトの触り方だけを学んで後は自習で済ませるものから、CADオペレーターとして働くために必要な操作を一通り学べるものまでそのレベルはさまざま。自分がどの程度の実力を講座で身に付けたいのか、しっかりと検討した上でスクールを選びましょう。

初心者コースの例

料金
14万8,000円
教材費用
8,000円
期間
5カ月(150分×20回)
学べること
製図基礎、初期設定、基本操作、作図コマンド、編集コマンド、画層・専属性、文字・寸法、ペーパー空間、建築・機械製図の方法、寸法記入、三角法、概念設計、基本設計、詳細設計、機械の仕組み、素材、部品の構成など。

実践コース

  • 料金相場:20~45万円
  • 受講期間:6カ月程度
  • 主な使用ソフト:AutoCAD、Jw-cad、VectorWorks

CADオペレーターやCADデザイナーとして活躍できるレベルの内容を教えてくれるコースです。AutoCADやJw-cadといった基本ソフトの使用スキルを一通り習得した人をターゲットとしています。講座の後半は、自分の進みたいキャリアごとに、機械CADや建築CADなど特定のCADソフトを選んで習得を目指す場合もあります。また、「CAD利用技術者試験1級」など就職に役立つ高難易度の資格取得を目指すコースも多いです。学ぶ内容が高度な分、料金や受講期間は初心者向けのコースよりもハイグレードになりがちです。

実践コースの例

料金
40万5,000円
教材費用
2万4,000円
期間
150分×50回
学べること
製図基礎、初期設定、基本操作、作図コマンド、編集コマンド、スタイル設定、部品登録、レイアウト、建築・機械製図の方法、寸法記入、詳細設計、機械の仕組み、3次元CAD(基本操作、操作練習、テクニカルイラスト、建築パース)、CAD利用技術者試験対策など。

専門(建築・インテリア・機械など)

  • 料金相場:10~80万円
  • 受講期間:6カ月~1年程度
  • 主な使用ソフト:AutoCAD、Jw-cad、VectorWorks、REVIT、3Dマイホームデザイナー、GLOOBE、ARCHICAD、CATIA、SOLIDWORKS、NX、Creo Parametric

建築・インテリア・機械など特定のCADソフトを操作するための知識・スキルを身に付けられるコースです。建築・インテリアではVectorWorks、機械ではCATIAやSOLIDWORKSといった3次元CADソフトの操作技術も基礎から実践まで学ぶことができます。高度なソフトを使うこともあり、料金や期間は「実践系」のコース以上になることもしばしばです。ある程度CADの知識を身に付けた人物が更なる専門性を習得したい場合に、このコースを選ぶのが良いでしょう。

専門コースの例

料金
64万3,000円
入学金
2万5,000円
期間
1年(180分×60回)
学べること
建築設計/BIM概論、2D作図、編集コマンド、3Dモデリング、テクスチャマッピング、建築法規の基本、設計図書の作成、3Dマイホームデザイナー演習、GLOOBE演習、ARCHICAD演習、REVIT ARCHITECTURE演習、デザイン概論、Photoshop演習など。

自分に合った講座でCADの操作を身に付けよう

CADスクールの概要や学べること、料金などをご紹介しました。一口にCADスクールといっても講座ごとに特長があり、学べる内容も違うことが分かります。自分のCADに対する習熟レベルとそれぞれのスクール・コースの条件を照らし合わせて、最適な講座を選ぶことを目指しましょう。