在宅CADオペレーターの1日や収入、なり方は?

働く時間や場所が自由に選べて、ゆとりある働き方を目指せる在宅勤務。ここでは在宅で働くための方法や、在宅CADオペレーターの1日のスケジュール、平均収入などをご紹介します。「在宅で働きたい」「いつかは独立したい」と考えるCADオペレーターの方は必見です。

在宅CADオペのタイムスケジュールと収入

CADオペレーターの主な仕事は、CADソフトを駆使して設計・製図・トレースなどを行うことです。建築・機械業界をメインに、最近は家具・インテリアの設計や、ジュエリー業界、さらにアパレル業界など活躍の場が広がっています。CADオペレーターの仕事はパソコンとCADソフト、そしてインターネットに接続できる環境があればどこでもできるため、在宅で仕事をする人も増えています。在宅で働く場合の給与や、一日のスケジュールなどのリアルな情報をチェックしてみましょう。

ある在宅CADオペレータ―の1日のスケジュール

ここではCADオペレーターとして独立し、自宅で仕事を行っているAさんの1日を紹介します。Aさんはもともと大手建築会社にCADオペレーターとして4年勤め、その後個人の設計事務所に転職。そこでも3年ほどCADオペレーターとして経験を積みました。現在はフリーランス2年目です。

Aさんの1日

7:00 起床・家事:朝のうちに洗濯は済ませてしまいます。
10:00 仕事(2時間):お昼まで2時間ほど仕事をします。朝のメールチェックは欠かせません。
12:00 昼食・休憩:自宅で昼食を取り、休憩時間に家の中を簡単に掃除します。
14:00 仕事(5時間):発注者から電話が来たので対応。そのほかは作業を進めます。
19:00 夕食・休憩:夕食後はまったりくつろぎタイム。ずっと自宅にいる在宅だからこそ、オンオフの切り替えは大切です。
21:00 仕事(2時間):夜は発注者からの電話も少ないため、じっくり作業に集中できます。
23:00 入浴・就寝:明日は9:00から発注者との打ち合わせがあるため、早めに布団に入ります。

アパートで一人暮らししているAさん。仕事は1日8~9時間を目安に行っています。フリーのCADオペレーターだと、体調不良や急なトラブルが発生しても、代わりを頼める人はいません。一方で納期を破ると発注者との信頼関係を崩してしまうため、急な用事ができても大丈夫なように余裕ある進行を心がけているといいます。

在宅CADオペレーターの平均年収は300~400万円程度

在宅で働くCADオペレーターの平均年収は300~400万円程度です。月額にすると約25~33万円ですが、フリーランスでは仕事量によって各月の収入に差があります。また、在宅で短時間勤務を行っていれば平均額を下回ることもあります。

在宅CADオペレーターとして収入アップを目指すなら、CADオペレーターとしてのスキルを磨くことがもっとも重要です。ミス無く正確な図面を引く能力を身に付け、限られた時間を有効に活用しましょう。設計もできるようになると仕事の幅がぐんと広がり、収入アップを目指せます。また、建築や機械など特定の分野に精通していると、その業界から仕事を依頼されやすくなります。

在宅CADオペのメリット・デメリット

スキルさえあれば年齢に関係なく評価してもらえるのが、CADオペレーターという仕事の魅力です。いままでは企業や個人事務所で働く形が一般的でしたが、最近は働き方の多様化の影響もあり、在宅で働く人も増えています。また、プロのCADオペレーターとして独立する人もいます。CADオペレーターとしてさらなる活躍を目指す方向けに、在宅のメリット・デメリットをまとめました。

在宅CADオペのメリット

在宅勤務には「時間や場所を選んで働ける」というメリットがあります。これは家事・育児と仕事を両立したい方や、時間的なゆとりを持って働きたいという方にはぴったりのワーキングスタイルです。それぞれについて、より詳しく見ていきましょう。

時間が自由に使える

在宅ワーカーとして働く大きなメリットとして、1日のスケジュールを自分で決められる点があります。企業で働いていると週5日・8時間勤務がスタンダードですが、在宅ワーカーは始業・終業時間の決まりもないため自分の都合や体調に合わせて仕事を進められます。 また、通勤時間の削減も1つのメリットです。都心で働いていれば通勤に片道1時間以上かかることもありますが、在宅勤務ならその時間を仕事や趣味の時間にあてがえます。「今日は体調が悪いから少し休んで、明日取り戻そう」「子どもの参観日があるから、この日までに仕事量を調整しよう」など、仕事とプライベートの両立がしやすいことが在宅勤務の利点です。

PCとネットがあればどこでも仕事ができる

CADオペレーターは、パソコンとCADソフト、そしてインターネットに接続できる環境があればどこでもできる仕事です。自宅に限らず、カフェや図書館、レンタルオフィス、コワーキングスペースなどさまざまな場所で働けます。オフィスの空間や雑音が苦手という人は、自分好みの環境で作業できるため集中力・作業効率の向上が期待できるでしょう。また、「気分転換に今日はあそこのカフェに行こう」など自分の一存でスタイルを選んで働けるので、仕事へのモチベーションも維持できます。いわゆる「ノマドワーカー」として働くスタイルを確立できる点が在宅勤務の魅力です。

在宅CADオペのデメリット

働く時間や場所が自由に選べる一方で、在宅ならではのデメリットがあることも事実です。特にCADオペレーターとしてのスキルが低い人は在宅可能な仕事・就職先を見つけられず苦労しがちです。在宅で働く場合のデメリットをご紹介します。

相応の実力がなければ食べていけない

在宅CADオペレーターとして働くためには、第一線で活躍できるだけのスキル・実績が必要です。ただ図面をトレースするだけでなく、設計のスキルが求められることも多くあります。これは在宅ワーカーが「仕事の受注者」であることが大きく関係しています。 在宅では内勤社員と異なり、至急の事態にすぐ対応できなかったり、直接コミュニケーションを取れなかったりすることがありますが、これは企業(発注者)にとってデメリットです。同レベルのスキルを持つ人材であれば、在宅よりも指示がしやすい会社勤務の人間を採用するでしょう。そのため、「在宅でもいいからこの人にお願いしたい」という実力がなければ、安定した仕事を確保することができません。

高い自己管理能力が求められる

在宅で働く場合、高い自己管理能力が求められます。働く時間を自由に選べるからこそ、納期を意識したスケジュール進行が重要です。自宅はリラックスしやすい空間であり、テレビやインターネット、漫画や布団などの誘惑も多くあります。何かと理由をつけて仕事を後回しにしているうちに、取り返しのつかない事態を招いてしまうかもしれません。健康管理はもちろんのこと、身近にある誘惑を断ち切り、しっかりと仕事を進める強い意思が求められるのです。

また、仕事とプライベートの区別がしにくいことも在宅のデメリットの1つです。「休んでしまっていいのかな……」と不安を感じて休日もダラダラと作業を続け、全体の作業効率が落ちてしまう例もあります。週に一度はミーティングを行う、スケジューラーを活用するなどタスク管理を徹底し、休みの日は仕事関係のメールはチェックしないなど、オンオフの切り替えをしっかり行うことも大切です。

在宅CADオペになる方法や主なルート

それでは実際に在宅CADオペレーターになるためには、どのような方法があるのでしょうか。ここではCADオペレーターとして在宅勤務が可能な4つのルートを紹介します。在宅はリスクが大きい側面もあるので、慎重に準備を進めましょう。また、スキル・経験が不十分で業界の人脈が狭い場合は、副業として挑戦することも1つの手段です。

在宅勤務可の会社に勤める

在宅勤務を認めている会社に勤め、在宅CADオペレーターとして働く方法です。今までオフィスで行っていた仕事を、自宅で行う形になります。企業によってはカフェやコワーキングスペースなどでの業務を許可するところもあります。個人事業主と異なり、会社を仲介して仕事を得られる点が特徴です。また、企業の会社員と変わらず、各種保険などが適用される点もメリットです。パソコンは企業から貸与されるケースが増えていますが、電気代や冷暖房費の負担については企業によって異なるため事前に確認しましょう。なお、基本的に仕事は選べず昇給の基準などは会社の規定に準ずるため、「フリーランスとしてバリバリ稼ぎたい」という方は物足りなさを感じるかもしれません。

ツテをたどったり営業をかけたりして仕事を見つける

人脈や営業力を生かして仕事を確保する方法です。特定企業の会社員としてではなく、フリーランスとして独立する方法になります。スキルさえあれば、自分のやりたい仕事に好きなだけ取り組むことができます。仕事を得るルートとしては以前の勤務先などの人脈を頼るパターンが主流ですが、状況によっては新規の顧客に営業をかけて仕事を取ってくる必要もあります。顧客の開拓には「セミナーや勉強会への参加」「同業者コミュニティへの所属」「仕事を持っていそうな企業へのアクション」などの方法があります。実力主義の傾向が強い働き方で、CADオペレーターのスキルに加えて、積極性や柔軟なコミュニケーション力が求められます。

クラウドソーシングサイトで仕事を探す

在宅ワーカーの新たな働き方として注目されているのがクラウドソーシングです。これは企業が不特定多数の作業者(クラウド)に業務を委託する形式で、主にWebサイトなどを中心に行われています。建築設計・CAD・パース作成などの案件は経験者優遇のものが多く、在宅CADオペレーターは貴重な人材です。ただし、案件の単価が安いケースも多いため、クラウドソーシング1本で食べていくためには数をこなすか、より単価の高い案件を紹介してもらえるよう交渉するなどの工夫が必要です。

最初は副業として始めるのも1つの手段

独立や在宅勤務は魅力的な働き方ですが、失敗のリスクが大きいことも事実です。最初から独立することに不安を感じる場合は、副業として在宅の仕事に取り組むと良いでしょう。終業後や休日に自宅やカフェで作業を行い、仕事の流れを把握しておきます。一度体験してみることで、受注契約の結び方や発注者との付き合い方などを学べます。 ただし、副業でもプロとして仕事を引き受けることに変わりはなく、手抜きは許されません。どんな場合も油断せず、仕事には真摯に取り組みましょう。副業の段階で発注者から高評価を得ておけば、独立後も引き続き仕事をもらえる可能性が高まります。

副業する場合の注意点

CADオペレーターとしての経験が浅い場合は、最初から個人事業主として独立するのではなく、副業で少しずつ仕事の流れを把握していくことがおすすめです。副業の在宅ワークがうまくいかなくても、本業の収入で生活費を賄うことができます。ただし、会社で副業が許可されているかどうかはしっかりと確認してください。企業によっては申請が必要なこともあり、対応の不備は会社とのトラブルにもつながります。

CADオペレーターとして副業を行いたい方は、「賢く働く!CADオペWワークのススメ」も併せてご覧ください。ダブルワークのメリットや注意点について解説しています。

在宅でもCADのスキルは十分に生かせる

CADオペレーターは在宅でもできる魅力的な仕事です。女性が多いCADオペレーターの中には、「家事・育児と仕事を両立したい」「在宅でゆとりをもって働きたい」と考える方も多いはず。在宅勤務で理想のワークスタイルを確立しましょう。